茨城のアオシギに会いたくて      記   岸 久司       2012.11.01


 
この鳥に会いたくて冬季に茨城県中部の川の地図を塗りつぶしながら歩き始めたのは2004年の冬でした。なかなか会えないでいましたが4シーズン目の2007年にやっと会えました。その後毎年冬季には県内の里山を歩いて今年で9シーズン目を迎えます。

当初、生息していそうな川は図鑑などで事前に調べると山間部で幅は10メートル以下とやや狭く深さはアオシギのお腹が水に浸からない程度の水深で、図鑑の背景をみると石ころが少しあるところが越冬場所のように思いました。ネット上の地図で見ると茨城県にはたくさんあります。

3シーズン歩きましたが一個体も会えず。4シーズン目に会えたのは予想もしていなかった三面壁のコンクリートの水路でした。この日は川沿いを歩いていて「今日は会える!」と予感がしていました。まだ会ったことのないアオシギに歩きながらだんだんと近づい

ているそんな不思議な感覚だったのを覚えています。コンクリートの橋の上で双眼鏡を顔に当てると(肉眼では解らなかったのに)そこに一羽のアオシギが入っていました。「会えた、会えた」と一人でぶつぶつと、つぶやいていたのを思い出します。

 その後ほかの川でも会えるようになって、現在ではほぼ毎シーズンどこかで会えるようになりました。これまで越冬状況など解ってきたことを書いてみました。

    画像は2010.02.07三面壁にて越冬環境

・県内では渓流よりむしろ水路や小川の方に生息してコンクリートの三面壁にも現れる。

・川幅は5.6メートルで水深は浅くお腹が浸からない程度。流れはゆるい。

・川は山裾に近くて木々が覆っているようなやや薄暗く空抜けではないところ

生息状況

1羽での単独越冬がほとんど。

1本の川で、離れて2個体が越冬したこともある。

・お気に入りの場所ではほぼ毎年同じ場所で越冬している。

越冬時期   11月下旬〜4月上旬

行動

・水の中でじっとして獲物がそばに来るのを待っていることが多いが、時々は歩きながら採食している(屈伸運動のような動きをします)

・警戒心が強く、こちらが見つけるよりも先に見られていて、飛び出した後に気づくことも多い。

・飛翔は川に沿って飛んで行き、また川に降りる。

1シーズン(15回ほど山に入って)を通しても会えるのは3.4個体ですので、一日歩いても全く0の日も多くあります。まだまだ回り切れていない川もたくさんあり、解っていない生息環境や行動もたくさん残されているように思えます。時間と体力がある限り今シーズンも通ってみたいと思っています。私にとっとは謎が多くてとても魅力的なシギです。