チュウシャクシギの飛行場周辺の塒の観察 記 2011年5月8日 長沼孝夫
毎年4月の末からから5月の半ばまで、南の越冬地から北の繁殖地へ向かう途中の中継地として竜ケ崎付近で羽根をやすめます。その場所が飛行場の周りなのです。
昼間は単独とか多くても3〜5羽でそれぞれに四方に散らばって餌を探していますが、夜は集団で塒を形成します。
私が見た日は、夕方5時頃に飛行場の南側の教えてもらった場所に行って見るとすでに数十羽のチュウシャクシギが田んぼに降り立っていました。
見ていると数羽から多いのは数十羽の群れで東西南北あらゆる方向からやって来ます、高い上空から急降下して来るものや地面すれすれに遠くの家並みの中から突然視界に現れるものやら、またまたまっすぐ降りてしまうのやら上空を何回か旋回するものやら、大型の鳥なのでまさに壮観でした。
そんな光景が、あたりが真っ暗になるまで続きその数は300羽以上になります。そんなスペクタルを見に毎日のように通いました。有る日は、200羽以上集まった頃、近くのあぜ道を水の見回りに農家の車が通った時一斉に飛び立ったのです
西の空は赤に近いオレンジにそまり、周りの空は青さを増して暗くなりかけた空に、それはそれは壮観でした、感動でした。何回か旋回したりしているうちにその車がいなくなると同じ場所に降り立ちました。
チュウシャクシギは竜ケ崎付近に来るシギチでは最大の鳥さんで、集団で塒を形成するのでその数に圧倒され、バーダーの我々を喜ばしてくれます。
先日(2011.5.4)の平日探鳥会で飛行場の東側に回ってコジュリンを見た時に田んぼの中に何十本もの竹竿が立てられビニールの切れ端が下げられた一枚の田が有ったのを見てなんだろうと思われた方がいたと思いますが、あれは鳥脅しなのです。実りの季節ならスズメを追い払うためと判りますが実りの無いこの時期はチュウシャクシギが害鳥なのです。
大型のチュシャクシギが数羽田んぼの中を動き回っても問題ないのですが数100羽の数が集まる塒になると問題が起きるのです。
夕方から早朝まで一か所の田んぼに集まって夜を過ごすので中には食べ足りないのか、伴侶を探すためか動き回り早苗を踏みつぶしたりします。田植えがすんだばかりの早苗は泥の中に挿されただけで根が張っていないので近くを歩くと早苗が倒れたり抜けてしまったりするのだそうです、被害が少なければ挿し芽(根付かなかった部分に新たに早苗を植える)で対応できるがひどい時にはもう一度、全面植え直しをしなければならないとの事だそうです。
5月の20日過ぎに同じ飛行場の東側に行って見て下さい、探鳥会の時は一枚しか有りませんでしたが多分数十枚もの田んぼにビニールの竹竿が翻っているのにビックリすると思います。
狩猟期ではないので害鳥駆除にはなりませんが付近の農家の方は大変困っている事実を知っていて貰いたいと思います。とはいえ我々バーダーにはどうする事も出来ませんが農家にとって鳥に邪魔されバーダーに邪魔されとはならないようにくれぐれも農作業の邪魔にならないように気を付けたいものです。