「波崎のカモメたち」
渡ってきた鳥たちは最初に目にする陸地で翼を休めるのだろう。北から南へ渡るカモメたちは、黒潮と親潮の出会う、イワシ漁の盛んな銚子、波崎両港を越冬の場としてきた。カモメ類は海洋性の鳥ではありません。
沖に出て水中の魚を積極的に捕食することはせず、せいぜい網に囲まれたイワシを失敬するくらいであります。したがって、カモメたちはおこぼれの多い水揚げ場や水産加工場のある漁港の近くで群れて生活しています。
別名「入り江カモメ」とも呼ばれるユリカモメは、河口付近よりも波の静かな河川の中流域を好んで生活しています。採餌方法も大型カモメ類と異なり、水深の浅い所でちょっと飛び上がっては頭から水中に飛び込んで積極的に小魚を捕食します。
波崎漁港は知る人ぞ知る迷鳥、珍鳥のよく出る所であるが、だめなときはまったくだめな場所でもあります。1日に35種類のシギ、チドリ類を数えたり、オーストラリアセイタカシギ、カラシラサギ、クロツラヘラサギ、コオリガモは過去のことになってしまったが、ウミネコの黒化個体や足の黄色いセグロカモメは毎シーズンのように見られます。
ミヤコドリ、ミユビシギ、メリケンキアシシギなどは常連で、漁港内ではアビ類やカイツブリ類がよく見られ、特に群生の強いハジロカイツブリの大きな群れは見事であります。
探鳥地としては狭いが、常連のウオッチャーも多いようです。
港と利根川を運河で仕切ったために離れ島になった洲鼻とよばれる一角では毎年コアジサシがコロニーを作り、1995年には日本一の営巣数を数えました。毎年8〜9月の渡りの時期には数千羽の群れが休息に集まります。
バードウォッチングマガジン バーダー Birder より抜粋
波崎愛鳥会 鈴木恒治書
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