江戸崎町稲波干拓
 

  霞ヶ浦江戸崎入干拓地(通称稲波干拓地)は茨城県南部の稲敷郡のほぼ中央、霞ヶ浦の南岸の江戸崎町と桜川村の境にあります。この地方は関東有数の穀倉地帯と呼ばれています。

 現在ヒシクイがエサ場としている水田は、戦前は広い湿地帯で、多くのガン、カモが渡来していました。

 1939年に江戸崎入干拓事業が始まり1957年に完成しました。干拓面積は235haになります。

 ここ稲波干拓は関東で唯一のオオヒシクイの越冬地であります。

 毎年シーズン中は日本野鳥の会茨城支部の探鳥会を初めとして私達の龍ヶ崎バードウォッチングクラブや各種団体の観察会が行われています。


毎年 50羽前後が越冬

観察できる野鳥
  春〜夏  ホオジロ、カワラヒワ、スズメ、ハシボソガラス、カイツブリ、ゴイサギ、アマサギ、ダイサギ、チュウサギ、アオサギ、カルガモ、サシバ、キジ、バン、オオバン、コチドリ、ムナグロ、キョウジョシギ、キジバト、カワセミ、ヒバリ、ツバメ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ムクドリ、
  秋〜冬  オオヒヒクイ、カンムリカイツブリ、カワウ、マガモ、コガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、ミサゴ、トビ、ノスリ、オオタカ、ハイタカ、ハイイロチュウヒ、チュウヒ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、ウズラ、クイナ、タシギ、タゲリ、タマシギ、ユリカモメ、セグロカモメ、タヒバリ、コミミズク、セグロセキレイ、ハクセキレイ、ジョウビタキ、アカハラ、シロハラ、カシラダカ、アオジ、シベリアジュリン、オオジュリン


 ある冬の一日をバードウォッチングしてみよう。
(地図は、ココをクリックしてください。)
 スタート S の大正橋わきから中間 M に向かって歩きます。大正橋から土手に降りると、まずハクセキレイが道案内をするかの様に先導してくれます、土手右の旧河道ではオオバン、コガモ、カルガモ、が観察出来ます。2000年2月にはコブハクチョウ、コハクチョウ、アメリカコハクチョウが観察されました。 奥の方ではカワウ、カイツブリが盛んに潜水していて、河の中の棒杭注意して見れば、カワセミが魚を狙っています。又いけす上にはコサギ、チュウサギ、ダイサギ、ゴイサギが休んでいて、上空を見ればアオサギが奇妙な声を出しながら飛んで来ます。土手直ぐわきのアシ原の根元では越冬中のバンやオオジュリン、セッカが、アシの上の方ではホオジロ、カワラヒワ、が盛んに、動き回って、時にはウグイスやメジロが観察できます。

 土手の左手は民家と屋敷林と公園で、そこにはスズメ、ムクドリ、ツグミ、ヒヨドリ、ハシボソガラス等が観察されます。旧河道のカモは99%がコガモ、とカルガモ、である、時にはハシビロガモ、マガモ、ホシハジロ、オナガガモも混じります。しばらく歩くと左手に公園が見え元気な子供達の声がし、公園の直ぐ裏に休耕田があり常に水が張られていて、田の中にはタシギが盛んにクチバシを土の中に入れ餌を探しています。他にムクドリ、コガモも食事中で、時にはタマシギの昼寝姿にお目に掛かる事もあります。この休耕田の草地ではアオジ、アカハラ、ジョウビタキ、キジバト、ツグミ、モズ等が観察できます。 

 しばらく左右を見ながら歩くと、水門にあたる M 点に着き、 S 〜 M の移動中注意深く左右を見ると、カワセミの飛ぶ姿を見ることが出来ます。 M で土手下の道に降り、ここから E 地点に向かうと、道の左手は桜並木がありこの桜の木にはチョウゲンボウ、ノスリが良く止まっています。他にカシラダカ、スズメ、ホオジロ、モズ、ムクドリ、カワラヒワ等も良く止まっています。桜並木の下は田とアシ原であり、田にはヒバリ、タヒバリ、キジが水路にはクイナの姿を見ることが出来ます。2000年4月にはこの場所でホオアカを観察しました。

 やがて桜並木は終わり左手一面は刈田一色となり、ここより再び土手上に移動し本命のオオヒシクイを観察します。この土手上では足元よりウズラが飛び出したり、コミミズクが飛び出したりしたこともあります。もう少し歩いて干拓中央部を見渡せる E 点まで行こう。小野川を背にして干拓地を万遍なく見渡すと昼寝中のオオヒシクイの群れを見ることが出来ます。オオヒシクイを見たら小野川の水面を見よう。カンムリカイツブリ、ユリカアモメ、セグロカモメ、カワウ、カルガモが泳いでいて、小野川上空を注意して見るとミサゴがホバーリングをして魚を狙っている姿を見ることが出来ます。

 再び干拓方向に目をやる、双眼鏡で干拓中を嘗める様に観察する。運が良ければハヤブサ、ノスリ、チョウゲンボウ、オオタカ、ハイタカ、トビ、ミサゴ等の猛禽類の食事風景を見ることが出来ます。朝夕はコミミズク、チュウヒ、ハイイロチュウヒの姿も見られます。特に中央にある水路上を良く飛びます。     今度は双眼鏡を上空に向けましょう、猛禽類の空中戦が楽しめるかも・・。稲波干拓は猛禽類が多いので3種、4種による激しい戦いもあります

 猛禽類を見ていると、白と黒のコントラストのタゲリが目に入り、地上では猛禽類に追われて飛び立つ数百羽のカワラヒワの乱舞が見ものであります。
 最後にもう一度オオヒシクイを見て今日のバードウォッチングを終了しましょう。。(例年1月末〜2月初めにかけて10羽前後のマガンが入ります。)

観察のポイント(オオヒシクイ
○ 初認は11月10日前後。終認は3月15日前後(越冬数は45〜75羽)
○ 早朝(午前6時30分前)のポイント
 1) M 点土手上より@の旧河道方向を見て、いない場合は、 2)土手よりAの小野川方向を見て、 3)土手よりBの干拓地を見てなおいない場合は、 4)土手よりCの方向(北東方向)上空にプロミナーをセットしてまてば、やがて雁行が近づき、大きな声が聞こえて来る、干拓上空を5分から10分旋回し安全を確認後干拓に降りる。
  "注"1)2)の場合急に土手に登らず静かにゆっくりと登ること。(驚いて飛び立つ場合もある)
○ 昼間は、 E 点土手よりB方向に99%見つけられます。Bに居ない場合は、霞ヶ浦にいっており戻って来ませんので、諦めて、猛禽類を見つけて下さい。

         オオヒシクイの飛翔(撮影 石山昌男氏)
         

行き方
1) 常磐線土浦駅より「JRバス」江戸崎行き 終点江戸崎車庫下車。徒歩  分
2) 常磐線佐貫駅乗り換え「関東鉄道龍ヶ崎線」龍ヶ崎駅より「関東鉄道バス」江戸崎行き 終点江戸崎車庫下車。徒歩  分
3) JR成田線佐原駅より「関東バス」江戸崎行き 同上。
 いずれも本数が少ないので、車利用をお勧めします。              RBWCのトップページへ戻る

地  図 
駐車場・トイレ
 1)江戸崎役場:駐車場 トイレ  
 2)リバーサイド公園:駐車場 トイレ R
 3)小野川土手下:駐車場 トイレ  なし ME


お 願 い


アフターバードウォッチング(まだ鳥を見足り無い人は)
1) ここより車で15分、浮島草原(浮島編参照)
2) 同じく車で60分、北浦水原 白鳥類、カモ類(珍鳥オオホシハジロが見られる鴨)

*おみやげ
江戸崎マンジュウ。 商店街の青木菓子店
 霞ヶ浦名産川魚。   〃  利根川屋
 江戸崎カボチャ。   〃  青果店(初夏のみ)
 古渡        鴻野の大福、まんじゅう

豆知識
 江戸崎町生涯学習通信「江戸崎ファイル」より抜粋すると、「江戸崎のヒシクイの初見はなんと400年も前の戦国時代に遡ることが判明した。 江戸崎城主土岐源次郎(治綱)が小田原城主北条氏に年頭の贈答の品として「菱食」を送って居た事が「秋田藩家蔵文書」の中に正月27日付の松田尾張寺憲秀から土岐源次郎に宛てた書状が残されており、その文面から明らかになりました。このことから江戸崎あるいは霞ヶ浦周辺に昔からヒシクイが飛来して居たこと、さらに住民が長い間「共栄」して来たことが推測できます。又江戸時代後期に選定された「正定山八景」の中に「沼田の落雁」が含まれており、明治末年に新たに選定された「江戸崎八景」の中に「高田の落雁」が含まれて居ることから推測すると、江戸崎地方では、ガン類(ヒシクイ)が人々の生活に季節感をもたらす存在であったことが一層鮮明に成りました」と書かれて居る。