ジシギ類の観察    −2008     記  岸  久司                       
 
ジシギ類の顔図鑑を作成してみました。野外での観察などの参考になればと思います。     (10.19アップ)
(私の見方とは異なったご意見もあるかと思いますが観察者の方により感じ方がいろいろあることは当然だと思います)

「ジシギ類の顔図鑑」
野外でジシギに出会った時に顔のイメージから種を絞り込めることがあります。頭の形、目の位置、目の大きさ、嘴の長さと形、顔と頭の模様などです。
今回の写真はその種の特徴的な個体を選別してみました。また生息環境や行動などの説明は省略して顔のアップ写真にてそのイメージを強調してみました。

(写真はアオシギは茨城県中部、他はすべて龍ヶ崎市内での観察です。毎シーズン平均してオオジシギは7月〜8月に約40個体チュウジシギは8月〜9月に約60個体観察できています)


「タシギ」    最も個体数が多いが顔形も個体差が大きい。嘴はジシギ類中最も長く見えその基部は他に比べて細く見える。頭も嘴が長いぶん小さく見えて、目も小さい。頭側線はまだら模様でチュウジシギのようにべったり塗ったようには見えない。過眼線は太い個体が多い。

「オオジシギ」   他のジシギに比べ顔も大きく見えます。眼の位置が嘴の基部より離れていて頭頂部に近い印象があり、人でいえば面長の顔に見えます。眼も大きく見えます。眼先のバフ色の眉斑の面積も最も広く見えます。嘴は胴体が大きいので短く見えます。

「チュウジシギ」   オオジシギに比べて丸顔で小さく可愛い印象です。関東で見られる個体は顔も体も他のジシギに比べて黒く見えることが多い。頭側線はべったり塗りつぶしたように見えタシギとの比較ができます。
 タシギ  オオジシギ  チュウジシギ
「ハリオシギ」    関東地方ではめったに観察できません。第一印象はややタシギに似て小さい印象ですが、顔が大きく目も大きく見えます。特に額の出っ張りが目につきます。頭頂部は平らで頭側線は茶色がまだら模様。嘴の基部は太い。全体には赤茶色が強く見える印象です。

「ヤマシギ」    生息環境と太った体系から識別は容易。嘴は短く頭は大きい。目の位置は頭頂部に近く、頭頂部の黒班は他のジシギと違って横しまもよう。

「アオシギ」   冬の生息環境から識別は容易です。他のジシギ類に見られる羽縁のバフ色(クリーム色)に対しすべて白色。
 ハリオシギ  ヤマシギ  アオシギ
チュウジシギとタシギの識別図鑑
  田んぼに溶け込んでいる鳥を探してみましょう!   

番地で答えてください。左下ならA-3 右上ならC-1というように、居ないと思えは無しすぐには見つからないかも知れません!目が疲れますので休憩して、視点を変えてチャレンジしてみましょう!     『答えは下の段にあります』
答は BとCの間の−2でした。
チュウジシギ 8/31 市内    市内でも増えてきました。  人気のないジシギですが魅力はいっぱいです。

コメント      「ジシギ類観察で今思っていること」
「野外での識別は困難である」と書いてある図鑑もありますが、経験を積めば「多くは識別できる」と私は思っています。
観察条件(鳥とのキョリ、全身が見える、行動など)で決まりますが第一印象で決まっていて、たまたま尾羽を開いて「やっぱりそうか」
と確信したことも幾度かあります。ということは尾羽が見られなくても識別できている個体も多いのではと思っています。

観察記録であえてジシギsp(ジシギ類)とするのではなくむしろ種の特定として記録を残していくべきでは思います。
決定的な識別ポイントはおそらくこれからも見つからないでしょう!  これでは永遠にどの種がどれくらい何時ごろ渡っているのか
不明のままではと危惧しております。
気が付いたら絶滅しかけていたでは手遅れになるような気がしています。関心のある方が増えて詳しい渡りの状況が判ってくればと期待しております。
チュウジシギ  A個体
チュウジシギ  B個体
チュウジシギ C個体(左)
            と オオジシギ(右)
(おそらく)チュウジシギ    観察日 9/13,14 市内
コメント
そろそろ上空が気になる時期ですが、相変わらず「地べた」を眺めていました。
肉眼では餌取りのようすを時々観察していましたが証拠写真が撮れませんでした。今日はタイミングよく映っていました。
残暑のせいでしょう水たまり近くで多く見られました。
観察は13個体で写真は6個体でした
A個体
B個体
C個体
D個体
E個体      F個体